弊社は2017年に産業技術総合研究所(AIST)技術移転ベンチャーとして、生体吸収性治療機器の開発を目指して設立致しました。
医薬品や治療機器は厚生労働省から承認を得て初めて世に製品が出せる製品ですが、その工程は必ずしも安易ではありません。とくに生体吸収機能を有する製品にはより高い安全性と有効性を求められます。
我々が手掛けているマグネシウム合金製治療機器は、日本では初めての素材を用いた治療機器であるため、その安全性については高い基準を要求されることが想定され、最初の開発品は不具合が生じた場合の対応が比較的容易な骨固定スクリューの開発からスタートさせました。その結果、製品開発から五年で最初の製品である骨固定スクリューは臨床試験を実施せずに治療機器としての承認を得ることがほぼ確実な段階まで進めることが出来ました。
我々は次の製品として、現在、体内組織固定用の自動縫合器に装着する吸収性ステープルの開発に臨んでおります。今では外科的手術全般にわたり広く自動縫合器が使用されるようになってきましたが、装着されているステープルはチタン合金製であり、生体内に生涯残存することから幾つかの副作用も報告されておりますが、現状ではこれに変わるステープルが存在しないことから医療現場で使用し続けているというのが現実です。我々は、これらの副作用をなくす可能性がある生体吸収性ステープルの開発に着手いたしました。
また、我々は骨固定スクリューの開発ノウハウを活かして骨固定プレートシステムの開発にも挑んでおります。整形外科領域では強度の高い生体吸収性骨固定プレートシステムの開発が望まれており、当社では強度の高いマグネシウム合金製骨固定プレートシステムの開発にも取り組み始めております。
治療機器開発においては日本は他国から製品数や市場獲得率で大きく後れを取っております。我々が取り組んでいる治療機器は日本発の新しい素材と日本の得意分野である加工技術を活かした治療機器であり、世界市場へ進出するチャンスであると捉えております。
我々はこれら製品開発で得た様々なノウハウを活かして治療機器のみならず、医療分野の総合開発企業へ成長させていきたいと思っております。
メルフロンティア株式会社
代表取締役社長 北川 全